クラシエ株式会社 吉田 亮氏

真のビジネスリーダーに不可欠となるスキルや視点を習得すると共に、将来にわたる人脈を得る

吉田 亮氏
クラシエ株式会社
総務・人事室 人事・労務部長

時代の先行きが見通しにくい環境下であっても、ビジネスリーダーは事業を推進するために日々決断が迫られる上に、その施策を実践していかなければなりません。「どうしたら、それらのスキルを高めることができるだろうか」と悩まれている方も多いのではないでしょうか。

日本能率協会が、長年開催している「プロフェッショナル・ビジネスリーダーコース」(以下、PBLと略す)は、そうした課題に応え、経営視点や全社視点で行う意思決定のあり方を短期間で実践的・集中的に習得することを目的とした研修です。

このプログラムの最大の特長は、実在する企業を題材として、各企業から選抜されたビジネスリーダーがチームを組んで、生きた経営情報から現在そして将来の成長戦略を考えていくこと。価値観の異なるメンバー同士であるからこそ、新たな価値観や視点を得ることができます。

この度、2022年にご参加いただいたクラシエ株式会社の吉田 亮氏に、このプログラムで得られた感想や気づきについて伺いました。

PBLに寄せる会社の想いを真摯に受け止めて参加する

―― 現在のご所属と役職、主な業務内容を教えてください。

2023年10月にホームプロダクツと薬品、食品の3事業を一社に統合して、クラシエ株式会社となりました。 現在は、クラシエ株式会社で人事・労務部長を務めています。

主な業務内容は、二つに大別されます。一つが、従業員個々の活躍を支えるための施策の実施です。もう一つは、従業員の働く環境を整えることです。従業員の成長を促して成果に向けたモチベーションを維持・向上できる環境づくりを進めています。

クラシエ株式会社 吉田 亮氏

―― PBLに参加されるにあたっては、会社からどのような説明がありましたか?

どういう想いを持って社員をPBLに参加させているのかは、会社からしっかりと説明がありました。具体的な流れとしては、まずは自分が所属する部署の上長から通達があり、その後、事前のオリエンテーションが開催されました。そこで、社長から何を期待しているかが伝えられると共に、前回PBLに参加したメンバーから研修の内容や参加に向けた心構えなどが語られました。本研修には、大きな期待が寄せられていることを感じました。

指名された期待に応え、積極的な発言を心がける

―― 吉田さんご自身は、PBLの参加メンバーに選抜されたことに対してどんな印象を持たれたのですか?

メンバーに選ばれて、とても嬉しかったというのが、正直な気持ちです。やはり、自分を指名してもらえたわけですからね。その意味では、やりがいやモチベーションがかなり高まりました。

―― どのような心構えでPBLに臨まれましたか?

前回のコース・パンフレットを見させてもらい、「対外試合であり、生半可な気持ちでは修了することはできず、熾烈なものだ」と理解しました。それだけに、こちらも心して掛からないといけないという気持ちがすごく高まりました。

クラシエ株式会社 吉田 亮氏

―― 他社の参加者との関わりやディスカッションでは、何を意識されましたか?

発信力の強化です。 発言した内容が合っている、 合っていないにかかわらず、とにかく積極的に発言することを意識しました。せっかく会社から送り出してもらえているわけですからね。それに、社内では組織を代表して、従業員と相対している場面も多く、自分の想いばかり伝えるわけにはいきませんが、社外の全く知らない方々であれば、自分の考えや意見をダイレクトに伝えやすく、多くの発言をしようと心掛けました。

また、参加したメンバーの空気感も良かったので、「間違っていたらどうしようか」などという不安を抱くことは、一切ありませんでした。

レベルの高い仲間たちから多大な刺激を受ける

―― PBLで最も印象に残っていることは何ですか?

PBLで共に学んだ仲間とのつながりです。レベルの高い方々から多大な刺激を受けたことを鮮明に覚えています。忘れられないのは、「吉田さん、将来は社長をやってみたいと思わないですか。私は社長になって色々なことを実行していきたいです」という発言があり、そのような気持ちを持った人たちが集まっている研修であると改めて実感しました。それは、今でも強く印象に残っています。

―― 吉田さんが参加された2022年は、例年以上に前向きなメンバーが揃っていましたからね。プログラムは、延べ6カ月で15日開催されましたが、その合間でもメンバー同士で自主課題や課外授業にも取り組まれていらしたとお聞きしています。

終盤に実施していましたね。WEBで繋いだりして大変でしたが、とても刺激的でした。本当にチームのメンバーに恵まれていたのが、大きかったと思います。

―― 逆に、一番苦労されたことは何でしたか?

私自身の計数感覚がまだまだ弱くて、周囲のメンバーに付いていくのが大変だったことです。何しろ、参加された皆さんは錚々たる方々ばかりでしたからね。例えば、経営企画に近い業務をされておられる方やもう既に事業部を運営されている方、他社の経営に関してアドバイスをされる方などがおられました。いわば、一国一城の主に近いとか、事業を回していくための財務指標の見方や考え方を習得されている人がほとんどだったんです。私は、そういったメンバーに対して、計数感覚の切り口で自分の意見や考えを語ることができず、「経営の視点を強化するためには、ここを補っていかないといけない」と痛感させられました。

クラシエ株式会社 吉田 亮氏

PBLを通じて発言力、意思決定力を養うことができたと実感

―― PBL修了後、ご自身の行動や考え方にどのような変化がありましたか?

職場の同僚らから、「良い意味で変わったね」「発信力が高まっている」と言ってもらえました。やはり、何かしら思ったことは積極的に発言するという姿勢でPBLに臨んだおかげだと思っています。そこは、私にとって大きかったです。

―― PBLを通じて得られた知識やスキル、気づきで今も役立っているものがありますか?

講師陣のお一人、籠屋邦夫先生の「インテリジェントエイヤ!」です。欲しい情報が完璧に揃うことはあり得ないので、今、保有している情報の中から複数のシナリオとその発生確率という形で捉えて、最後は「えいやー」と決定する。それを籠屋先生は、「主観的確率」とおっしゃっていました。

自分で判断を行なう場面では、腹を括って自分が責任を取るという覚悟で臨むしかないと思っているので、今まで学んできたものをフル活用して、決裁や決定をするという考えは、ものすごく役に立っています。

他にも、岡田正大先生の「情報の全体像を見なければいけない」という話もリアリティがあり、自身の糧となっています。

クラシエ株式会社 吉田 亮氏

次世代幹部候補が受講するには、最適なプログラム

―― この研修をどのような立場・課題をお持ちの方にお勧めされたいですか?

当社で言う課長クラス、40代前半ぐらいのメンバーに参加してもらうのがベストだと思っています。実際、当社では次世代研修の1つとして、PBLを位置づけています。そのため、課長クラスの中でも選抜されるようなメンバーや部長候補と呼べる方が受講されると良いのではないでしょうか。

―― PBLへの参加を検討されている企業の方に、このプログラムの魅力として何をお伝えになりたいですか?

二点あります。まず、一つ目は参加者が、単なる研修で終わることなく、気づきや知識など得られるものがあり、自社に持ち帰って何か発展的に進められることがあること。それは、参加したメンバーの考え方の変化なのかもしれませんし、ずばり事業に直結するものである可能性もあります。会社にフィードバックできるものが必ずあるということを、まずはお伝えしたいです。

二つ目は、人脈がとても広がることです。私が参加した回の皆さんの多くはPBLを修了した後、役職や立場に変更があり様々な業務を経験されております。そうした方々とのつながりや連帯感は今でも形成されているので、何か困ったことがあったときやアドバイスをもらいたいとき、相談をしたいこと、場合によっては企業間の協業の話につながるかもしれません。PBLに参加したメンバーとの関係性は、今後さまざまな場面で活きてくると信じています。そういった意味では、横の連携・人脈のパイプが今後さらに拡充、もしくは強化されていくと言えます。その結果、参加者自身だけでなく、送り出した会社にとっても重要な資産となるはずです。

インタビュアー日本能率協会 プロフェッショナル・ビジネスリーダーコース事務局

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