経営者として活躍するOB

「確立した個性」を持つ仲間との“真剣な対話”が醍醐味(2024年1月26日)

玉置 和彦 氏

2015年度「エグゼクティブ・マネジメントコース」修了

玉置 和彦 氏
日鉄ソリューションズ株式会社 代表取締役社長

2015年に「エグゼクティブ・マネジメントコース」(EMC)を修了された玉置社長に、参加時のエピソードや気づき、これまでのビジネスキャリア、そしてご自身の経営観・ご持論等について伺いました。

聞き手:曽根原幹人(日本能率協会・経営研究主幹)

率直に“嬉しかった”EMCへの参加

EMCへの人選が自分に決まったとき、率直に嬉しかった。当時私は人事の責任者をしており、過去に参加した諸先輩が「良かったよ、お勧めだよ」と評価していたので、期待値高く、楽しみに参加したことを覚えている。参加したのは新任執行役員の時。そのタイミングもあってか、EMCは、「経営者とは、役員とは何をする存在か?どんな素養、どんな考え方が求められるのか?」を考える機会となった。
同期メンバーもユニークで、みな“確立した個性”を持っていた。そういったメンバーと対等に向き合い、交われることに、回を増すごとに喜びを感じた。ただ、皆やんちゃな部分もあり、自分の会社のここが問題だ、とか、いつ会社を辞めようか(笑)等、飾らずざっくばらんに話をする人が多かった。それだけ問題意識の強い人たちが選ばれてきたのだろう。EMCは「心理的安全性」の高い場で、胸襟を開き、皆自身の思いや考えをぶつけ合った。あれから8年、今となっては、皆会社を辞めず、各社で経営者や要職を担っているわけだから、自社へのエンゲージメントも高かったのだと言える。
各講師との対等な対話・議論も多かった。「皆、いい質問をするし、いい意見を言うな」と感じたものだ。それぞれ、自社の社員というよりは、一人の社会人として発言をしていたと思う。私も刺激されていろいろ発言したことを覚えている。

思い出深い海外・国内合宿と2つの演習プログラム
玉置 和彦 氏

私が参加した年にバングラディッシュでテロ事件が発生し、日本人2名が犠牲となった。ちょうどその事件の当日に海外合宿の初日を迎え、目的地のバングラデシュに向かうため、メンバー・事務局は乗継地のシンガポールに到着。そのシンガポールで事件を知り、チャンギ空港において、メンバー全員で「これからバングラディッシュに行くべきか否か」話し合った。難しい対応を迫られたが、地政学リスク対応、危機管理のあり方を我々自ら実体験したシーンであった。

国内合宿も印象深い。北海道・夕張に行き、当時の市長で現・北海道知事の鈴木氏と対話をしたり、宮城県石巻市に行き、東日本大震災時に現地のイオン店長をされていた方との対話をしたりした。「社会的存在としての企業はどう振舞うべきか」「自分だったらどうしていただろうか」・・・、どれも忘れられないプログラムである。
「社長就任模擬演説」の体験も強烈だった。当時はまだ役員になったばかりで、確固たる考えは持ち合わせていなかったが、演説に向け、初めて経営者として何を話すべきかを考えた。 “経営者として覚悟を持つ”ことを経験し、やっておいて本当に良かったと感じている。また、「共同テーマ研究」も、経営者としての思考に強く影響した。尖った「問い」を立て、物事や事象の本質に迫る、大変良い思考の訓練になった。

人事と事業責任の修羅場で、“人や組織の力を引き出す”大切さを実感

私は、旧新日本製鉄に入社し、早い時期に新規事業である当社事業に移った。当時は事業がなかなかうまくいかず苦労し、新日鉄本体から、事業としての自立化を迫られ、30代前半のころに、人事リーダーとして所謂リストラクチャリングを担うこととなった。多くの社員を他事業や他社に移ってもらい、また、事業に必要な人材をキャリア採用するなど、人材ポートフォリオの入れ替えに奔走した。大変な苦労をしたが、結果、事業の方向性が定まり、良い方向に動き出した。その時、「選択と集中」が事業の成長に必要で、時に大きな意思決定が経営には大切なのだと学んだ。また、会社として誠実に社員に向き合い対応することの重要性を学んだ。
EMC修了後2年間、流通・サービス事業部長を担った。同事業は伸び盛りで、大型受注もあればトラブルも多かった。毎日がまるでジェットコースターのような状況で、大変密度の濃い2年間だったが、試行錯誤の中、部下が発奮し知恵を絞って困難を乗り越えて大きな成果を出す体験だった。当時の上司はそのシーンを「スクラムトライをしたな!」と表現したが、やはり人・集団の力の最大発揮が事業・経営の醍醐味だろう。

「会社をどうしたいか」自らの言葉で語る
玉置 和彦 氏

トップになって思うのは、やはり「会社をどうしたいのか、自らの言葉で語る」ことが大事だと思う。社長就任直前に、社内外から「あなたは社長としてどうしたいのか?」と問われ、自らの理想をあらためて考えた。経営にコミットし、人に語る。そして実現のために精いっぱい努力し、できなければ自分の責任。まさに“覚悟の意味”を悟った。
私の経営の基軸は「社員の幸せを大事にする」こと。社員が、仕事への喜び・やりがい・成長実感を持てるような会社にしたい。そのために今、次の経営ビジョンの策定に取り掛かっている。今後に期待していただきたい。

以上

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