経営者として活躍するOB
エグゼクティブ・マネジメントコースに参加して

1996年度 エグゼクティブ・マネジメントコース修了
宮下 正裕 氏株式会社竹中工務店 取締役会長
私は、第7期生(1996年度)としてエグゼクティブ・マネジメントコースに参加しました。
当時を振り返ってまず思い出すのは、約9カ月という長期間にわたって真剣に議論をした光景です。当時は特に「経済のグローバル化」が謳われ、「日本の空洞化」が問題視されるなど、現在と同様に、将来の不透明感が強い時代でした。そのような状況で、事業の責任者として第一線で普段はとても忙しいメンバーが、仕事を離れ、長期間膝詰で徹底的に議論を行いました。業種や個人によって時代認識や問題意識は様々です。9カ月という長い期間の議論は、当然表面的な内容では収まらず、本質的な議論に及んでいきます。気が付けば、時間を忘れて互いに譲れない激論を戦わせるような場面がよくありました。こうした経験を通じ、一つの事象に対して多様な考え方があることに改めて触れ、多面的で柔軟な物の考え方を深めることができました。
現在もコースコンセプトになっている「世界観・歴史観・人間観」というテーマは、一見経営とは関係のないように思えますが、宇宙や哲学等々さまざまな物事を幅広く知る良い機会になりました。日常業務に追われ、専門分野以外のことをゆっくりと考える時間が少なかった当時の私にとって、とても貴重な時間が持てました。コースの受講を通じて、様々な事柄に興味を持ち、自分の枠から抜け出して広い視野で物事を捉えることができるようになったと思います。
社会全体の価値観や企業に求められるニーズは、時代の流れとともに高度化、複雑化し続けており、また、変化のスピードも速くなっています。これから経営者を目指す人は、「変化に対する敏感な感性」を持つことが重要だと思います。当社においても『伝統と革新』という考えが浸透しています。良いものを守り進化させていくと共に、変化を見極めて自らが積極的に変わっていくことも重要です。
当時のメンバーの方々とは今でも時々集まって、昔のように議論をしながらお酒を酌み交わしています。研鑽し合える多くの仲間と出会えたことは何よりも最大の収穫でした。今振り返っても、本当に思い出深く、有意義な受講コースであったと思います。