三菱商事株式会社 松本 望氏

当事者意識を持って異なる視点や経験を共有し、人事のプロとしての視座を高める

松本 望氏
三菱商事株式会社
人事部 人事組織チームリーダー

会社が異なれば、戦略の方向性や直面している人事課題も違ってきます。そのため、「自社特有の悩みだから、他社に学んでも解決への糸口は見つからない」と思い込みがちです。果たして、そうなのでしょうか。意外と人事の悩みは共通であったりします。少し視野を広げて物事を眺めてみると、自社の特徴や強みに改めて気づき、課題の本質が見えてくるものです。

日本能率協会が、長年開催している「戦略人事プロフェッショナルコース」は、まさにそうしたニーズに応える研修です。

このプログラムでは、経営環境や働き方が大きく変わりゆく中、人事のプロに必要なマインドや行動を、この領域についての第一人者である有識者や企業の人事部門のトップを経験されたアドバイザーなどから学べるとともに、他社のベストプラクティスや取り組みの実態を聞きながら、自社での活用を模索していけます。

この度、2024年にご参加いただいた三菱商事株式会社の松本 望氏に、このプログラムで得られた感想や気づきについて伺いました。

「戦略人事」への向き合い方をイメージして研修に臨む

―― 現在のお立場やお役目、主な業務内容を教えてください。

人事部人事組織チームのチームリーダーとして、役員・幹部人事、役員報酬、人事異動や組織に関する各種事項、退職、キャリアデザインなどの業務に加え、人事発令業務のプロセス・システムの見直しに関する個別プロジェクトを担当しています。

人事部には、複数のチームが設置されていますが、その中でも経営と近い位置で仕事をする機会が比較的多く、この研修を活かせる場面が多いと感じています。

―― 「戦略人事プロフェッショナルコース」に参加された背景や理由をお聞かせいただけますか?

会社から選抜されて参加しました。私は、2012年から2014年半ばまで人事部に在籍し、その後の10年間は、総務やHRBP、事業会社人事の仕事に従事してきました。そうした経緯もあり、2024年4月久々に人事部に戻ったタイミングで、本コースを受講させて頂けたのは本当に有り難かったと振り返っています。

―― 「戦略人事プロフェッショナルコース」を受講するにあたっての準備や参加する上での心構えを教えてください。

以前このコースに参加した同僚二人と食事に行き、研修の内容や課題の難易度などについて話を聞き、雰囲気を把握しました。また、心構えとしては課題図書に目を通すと共に、コースタイトルである「戦略人事」への向き合い方を自分なりにイメージしました。

三菱商事株式会社 松本 望氏

経営戦略を人事戦略・施策に落とし込む視座を得る

―― 「戦略人事プロフェッショナルコース」全体を振り返って印象に残っていることをお聞かせいただけますか?

新たな気づきを多く得られた研修だったと思います。特に印象に残っているのは、アドバイザーである髙倉さんの講演です。私と違い、外資系のキャリアを渡り歩いて来られた方だからこその視点や考えを、様々な角度からインプットいただくとともに、多くの問題提起をしていただきました。また、アドバイザー・ゲスト講師として登壇いただいた方々の講義も魅力的で、例えば、富士フイルムホールディングスや川崎重工業の人事部門トップの方のお話では、詳細かつ広範な情報を解像度高く共有していただき、とても印象的でした。さらには、主任講師の学習院大・守島先生やゲスト講師として登壇された大学の先生などの講義も私にとっては新鮮で、アカデミックな視点から、人事の分析や働く人の価値観の変化をデータで明示していただき、気付きや学びが多かったです。

―― 「戦略人事プロフェッショナルコース」を通じて得られたことや具体的な変化も教えてください。

自社の人事戦略や課題解決策を立案する「個人研究」に取り組むにあたり、先ずは、自社の経営戦略や人事制度を巡る議論を読み返すところから着手しました。改めてそれらを振り返る良いきっかけになったと思います。また、以前より実践していたものの、経営戦略をいかに紐解き、人事の戦略や施策に落とし込んでいくか、一段高い視座で考えられるようになり、経営の社内外メッセージに対してもよりアンテナを張れるようになったと感じています。さらに、守島先生より講義頂いた「働く人の心」を意識した人材マネジメントについて、本コースを通じてその重要性を痛感するとともに、人事施策・制度の企画・運用においてどのように落とし込むか、体制面を含めた検討に繋げています。

三菱商事株式会社 松本 望氏

他社の参加者との共通項と違いを理解でき、学びが深まる

―― 他社メンバーの雰囲気や業種、企業規模、レベル感などの違いについては、どんな印象を持たれましたか?

様々な企業から多様な参加者が集まり、異なる視点や経験を共有しながら学びを深める環境が整っていたので、大変面白かったです。参加者との共通項もあれば、各人のユニークさも出ていた研修だったのではないでしょうか。事業モデルや企業規模、現在置かれているフェーズといった違いはありますが、一方で、人事という観点から会社全体にアプローチする点では共通点が多いとも感じました。

グループワークで講義の振り返りを行う際、自社の状況や自身の立場も踏まえながらそれぞれ講義内容を振り返っていて、そこには私には無い視点や気づきも多く、より深い学びに繋がったように思います。そうした点を踏まえると、業態等が近い企業から参加者が集まり過ぎてしまうと、着眼点が固定化しやすく、議論の幅が狭まってしまうかもしれません。

三菱商事株式会社 松本 望氏

―― メンバーとの交流、つながりは今後も続けていきたいですか?

もちろんです。ぜひ続けていきたいと思っています。研修期間中も、毎回懇親会幹事を務めさせていただきましたが、そろそろ懇親会を開催したいと思っています。研修後に、業務上の接点が生まれた企業・メンバーもいましたが、他社の取り組みや考え方をヒアリングする際、実際どうなのかと一歩踏み込んだレベルで聞ける間柄の人がいるのは、強い武器になります。そのためにも、今後も他社とのネットワークを創り、そして活かしていきたいと思っています。

自分ならどう考えるかと意識しながら、個人研究の発表を聞く

―― これまでに類似の研修やセミナーを受講されたことがありますか?

会社から社外研修に派遣してもらったこともあれば、MBAに類する研修に自ら登録して参加したこともあります。ベーシックなスキルはオンラインツールを活用すれば、自己啓発としてある程度学習できる一方、本コースのように、一定の経験値を得た上で、事例を用いて学習しあうケーススタディが中心になると、やはり対面での研修が良いと感じました。

―― 「戦略人事プロフェッショナルコース」の魅力や良かったと感じることを教えてください。

本コースで最も楽しかったのは、各参加者の「個人研究」発表の時間でした。受講者の皆さんが、自社の状況や人事的な課題を分析され、導いた打ち手についてプレゼンされましたが、私にとっては、まさにすべてがケーススタディみたいな感じでした。自分が当事者だったらどう考えるか。プレゼンを伺いながら、脳をフル稼働させて、シミュレーションしていたので、皆さんの発表が終わったときには、とても有益な時間を過ごせたと、充実感がありました。

三菱商事株式会社 松本 望氏

他社のグッド・プラクティスをシェアすることで、人事脳をリセットできる

―― 「戦略人事プロフェッショナルコース」の受講をどんな方に勧めたいですか?

人事のキャリアを本気で歩んでいきたい方、人事のプロを目指す方にぜひお勧めしたいと思います。知見・経験豊富な講師陣から助言を得られ、他社の方々とも触れ合う「他流試合」を経験できる貴重な機会だからです。どうしても人事は、視線が社内に向きがちです。本コースを受講すれば、自社の理屈だけでなく、世の中の色々な文脈や他社のカルチャーに触れて、自分の脳内をリセットできるように思います。

アドバイザーの高倉さんは「人事の模倣困難性」と表現されていましたが、まさにそうだと感じており、人事制度や施策には会社の風土が根付いており、そのまま真似することはできません。だからこそ、積極的に情報交換しやすい領域だと思います。様々なグッド・プラクティスを会社間で共有し、自社の施策検討につなげていく関係性を構築することは、会社の枠を超えて日本全体で人事領域を進化させることに繋がると思いますし、社外の人事関係者とのネットワークを広げていく文脈でも、すごく有益な研修だとお伝えしたいです。

―― 最後に、「戦略人事プロフェッショナルコース」およびJMAに今後期待することをお聞かせください。

本コースについては、アウトプットを創出していく過程で、参加メンバー同士が、よりインタラクティブにコミュニケーションできる環境を作っていただくと良いと思いました。講師やアドバイザーの方からの指導・助言も大変有難いですが、これに加えて、他の参加者からもアイデアや疑問点が寄せられると、個人研究がもっとブラッシュアップされると思います。

JMAには、戦略人事プロフェッショナルコースOB・OG版の「HR Camp」の開設を期待したいです。さまざまな会社が集まり、今の人事課題を共有しフランクに議論を深めていく場があると、視野の広がりや視座の高さに繋がるのではないかと思っています。

―― 松本さんのお力もお借りして、ぜひ実現していきたいです。貴重なご提案、ありがとうございました。

インタビュアー日本能率協会 戦略人事プロフェッショナルコース事務局

「HR Camp」とは…

HR Campは、日本能率協会(JMA)が開催する、人事担当者が階層別や同世代で集まり、人事の未来や戦略を本音で議論・共創する対話型イベントです。

特に、若手から経営層まで幅広い参加者との交流を通じて、他社の取り組みやHRトレンドを学び、新たな気づきやネットワークを得る機会を提供します。目の前の課題だけでなく、未来の人事戦略を考える場となることが大きな特徴です。

https://www.jma.or.jp/hrcamp/

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