日清オイリオグループ株式会社 藤田 恒氏

仲間と協奏していく中、リベラルアーツが人生を豊かにする型であると認識する

藤田 恒氏
日清オイリオグループ株式会社
食品事業本部 ダイレクトマーケティング部 主事

VUCAの時代と呼ばれる今日。この先、何が起きるのか予見しにくくなっています。また、マーケットもますますグローバル化しており、異なる価値観や商慣習を理解した上で対応する力が求められています。こうした背景の下、その重要性や学ぶ意義が高まっているのが「リベラルアーツ」です。それは単に幅広い教養や知識を身に付けるだけを意味するのではありません。思考力やコミュニケーション能力、創造力などを含め、人生をより良く生きていくための知的基盤、OSと言い換えられます。とかく仕事一辺倒になりがちな日本のビジネスリーダーにこそ、ぜひ着目していただきたい概念です。

日本能率協会(JMA)が開催している、「リーダーのためのリベラルアーツコース」は、日本発のグローバルビジネスリーダーを育成する研修プログラムです。哲学・宗教・歴史・国際社会のリベラルアーツ四科を学び、自分なりのものの見方・考え方の軸を形成していきます。

今回は、2024年度にご参加いただいた日清オイリオグループ株式会社の藤田 恒氏に、このプログラムで得られた気づきやその後の変化を伺いました。

クリエイティビティを高めたいと考えリベラルアーツを学ぶ

―― まずは、藤田さんの現在のお立場やお役目、主な業務内容を教えてください。

私は現在、食品事業本部のダイレクトマーケティング部で主事を務めています。個人のお客様向けに自社の商品を直接販売する部門です。私自身は、自社が構築しているECサイトの運営を担っています。

―― 「リベラルアーツコース」に参加された背景や理由をお聞かせいただけますか?

会社が全社員に推奨する研修プログラムの一つに、本コースも入っていました。そこで、応募理由を添え、上司の許可をもらった上で応募しました。よって、自薦という格好になります。私が応募した理由は、クリエイティブな資質を高めたかったからです。ネットを介して商品を販売する業務を行っているので、戦略構築や数値分析などのロジカルな面と商品の魅力を伝えるクリエイティブな面の両軸を活用することが重要になってきます。前者はある程度慣れてくれば対応できますし、独学でも学べます。しかし、後者は個人で学習するよりも自身で色々と体験しながら学習していかないといけません。そうした中で、リベラルアーツを学び実践すれば良い影響があるのではないかと考え、参加してみました。

他者を理解する姿勢がリーダーには不可欠。右脳にも影響を与える

―― リベラルアーツコースを通じて得られたことや具体的な変化をお聞かせください。

最終的に「リーダーとは一人で経験値を深めていくものではなく、会社の仲間との出会いや学びから成り立っていくものだ」と再認識しました。リーダーは、自分のビジョンや意志を示さなければいけません。そのためには、自分の中に何かしらの軸が必要となります。それは決して利己的ではなく、利他的な観点が備わっているべきです。利他になるには、他者理解が欠かせません。そのためにもコミュニケーションが大切です。そして、他者を慮ることはクリエイティブな面にも大きく影響してくると理解できました。

―― そうしたことを体得したきっかけもお聞かせいただけますか。

多種多様なメンバーが偶然集まったとはいえ、自然発生的にさまざまなタイプに分かれていったのが、とても印象的でした。いきなりリーダーシップを発揮する方、人の意見をしっかり聞いて最後に質問をされる方、議論の流れをロジカルに整理していく方など、色々な方がいました。また、バックグラウンドがさまざまであったことによる気づきも大きかったです。中には、過去における自らの衝撃的な職場体験を語られる方もいらして、「自分ならそういう局面をどのように乗り越えたのだろうか」などと、想像しながら聞いていました。そういった方々との語らいや討議・議論を通じて、議論の進め方や取りまとめ方、情報整理の仕方などを学ぶことができ、大変参考になりました。

それと同時にそれらすべてが、右脳的な働き方にも大きく影響した気がします。

実は分かっているつもりが多いことを痛感する

―― リベラルアーツコース全体を振り返って最も印象に残っていることは何ですか?

哲学や世界と宗教、日本文化の三点を踏み込んで学べたことです。それが大きかったと思います。特に、日本人以外は宗教が人生や日々の生活の規範になっている点は印象的でした。要は、宗教観が全く違うと言うことです。宗教自体は、何となく外側からは理解していたつもりだったのですが、「なるほど」と腹落ちできるものがありました。世の中で色々起きていることも、結局はすべてそこに行きつくのだと痛感しました。今までは、そんなことを考えることは一度もなかったです。日本文化も同様です。個人的には好きなので分かっていたつもりでいたのですが、意外と分かっていないことが沢山あると気づかされました。

―― リベラルアーツコースの魅力や良かったと感じることを教えてください。

リベラルアーツが何のために存在しているのかが、自分の中で腑に落ちたことです。魯迅の言葉に、「道はもともとあるものではなく、自分が歩んだ結果が道になっていく」とあります。私はこの言葉が大好きです。この道を形作るのが生きる意味であるとするならば、この道をより魅力的にするための型がリベラルアーツと、そこからの学びではないかと感じました。そこに到達できたのが良かったです。宗教の気づきや知っているようで知らなかった哲学・日本文化も、本質を知ることで自分の人生がすごく豊かになった気がします。それを痛感できたのも、本コースが仲間と協奏できる形式であったことが大きいと思います。誰かと議論を重ねることで、自分では気づけない視点を持つことができるようになります。したがって、独学以上に理解が進みますし、深まりました。

過去に受講した研修との類似性が感じられ、自ずと興味が高まった

―― 研修全体を通して一番苦労した点は何ですか?

課題図書や参考図書を読み込む時間をいかに確保するかでした。かなり時間を要しますからね。ただ、面白いもので読み込んでいけば行くほど質問したいことが次々と出て来ました。

―― 藤田さんご自身のこれまでの類似研修・セミナーの受講歴をお聞かせください。

30代の頃にオンライン海外MBAプログラムを受講しました。結構ユニークな講座でして、1年目には専門科目を英語と日本語のハイブリッドで学び、2年目に海外の現地キャンパスに留学する仕組みになっていました。グループワークが多かったですし、現地で学んだ交渉学は広義で言えばリベラルアーツの一種なので、本コースとの類似性がありました。また、コロナ禍前には会社から勧められて海外研修にも参加しました。そこに建設会社の方がお二人いらしたのですが、理論の進め方が非常に緻密で丹念に意識共有を図っていました。業界が異なると決め方も変わってくることを知りました。似たような印象は、本コースでも感じる場面があったと記憶しています。

自分がどう生きて行けば良いかを考えるきっかけを得られる

―― リベラルアーツコースの受講をどんな方にお勧めしたいですか?

意志を持った方が良いと思います。できれば、会社に言われたからではなく、「この研修は面白そうだから自主的に参加したい」と思ってくれる方であってほしいです。もう少し具体的に言えば、中長期的に自身のキャリアを考えている方、キャリアを考えようとしているがなかなか行動に移せていない方、色々と思い描いているものの「どうしたら良いのか」がまだ分かっていない方といったところでしょうか。私自身も、自分の人生をどう生きたら良いかと悩んだ時期がありました。これって答えがないんです。でも、そうした場面で他者と語らい、普遍的なテーマから学び合うことで、自分が今後どう生きていけばよいのかを考える良いきっかけになると思います。何らかのヒントを見つけ出せるはずです。もちろん、自分の将来をポジティブに変えていきたい方にとっても良い機会です。人生に対する考え方が変わってくる気がします。

―― リベラルアーツコースおよびJMAに今後期待することを教えていただけますか?

講義期間中だけでなく、本コースを修了してからも質問できる機会を設けていただきたいです。例えば、本コースでは前半に宗教や人間観、哲学などを、後半で国際社会や国際交流などを学ぶ流れになっていますが、国際交流の観点から宗教について質問をしてみたいと思う箇所が何点かありました。もちろん、同窓会や懇親会が積極的に開催されているので、そういった場を活用するのも一つのアイデアですが、仲間同士だとどうしても思い出話に花が咲いてしまいがちです。それとは別に引き続き学びを深める機会があれば面白いと思います。

インタビュアー日本能率協会 リーダーのためのリベラルアーツコース事務局

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